第30回ブループラネット賞を受賞された米国のヴィーラバドラン・ラマナサン教授、ならびにスリランカのモハン・ムナシンゲ教授に心からお祝いを申し上げます。
このたび受賞されたラマナサン教授は、長寿命気候汚染物質である二酸化炭素以外の短寿命気候汚染物質(SLCP)が、地球温暖化や大気汚染に与える影響について、数十年にわたって研究をしてこられました。その結果として、メタンやブラックカーボンに代表されるSLCPの削減が、温暖化を速やかに抑制し、大気汚染も大幅に改善することを示し、その後SLCP削減のための国際的な活動を主導されました。
またムナシンゲ教授は、開発の問題を経済、環境、社会の三つの観点からとらえる「サステノミクス」の考え方を創出されました。各国が発展の度合いに応じて取るべき持続可能な開発の道筋、「公正な包括的グリーン成長経路」を示し、富裕層に自主的な消費目標の遵守を求める「ミレニアム消費目標」を提唱するなど、環境経済学と環境政策を用いて実践的な活動を展開してこられました。
ここに、お二方の業績に対し深く敬意を表します。
受賞されたお二方が、並外れた探求心と卓越した行動力によって、長年にわたり現代文明や社会に警鐘を鳴らし、人々の取るべき道筋を示してこられたことは、誠に意義深いことであります。このたびの受賞者をはじめとして、環境問題を深く考察している方々が主導的な役割を担い、持続可能な地球環境と人々のより良い生活が実現されることを願って止みません。
昨年に続き、本年も、COVID-19の影響により、表彰式典および関連行事を開催することが叶いませんでした。ラマナサン教授ならびにムナシンゲ教授そして式典に出席を予定されていた皆様と直接お話ができないことは誠に残念なことであります。この状況が収まったときには、是非お二方に日本へお越しいただき、今まで行ってこられた研究や活動について、お話を伺う機会を持つことができれば嬉しい限りです。
ブループラネット賞は、地球環境問題の解決に向けて科学技術面で著しい貢献をされた方々の業績を称える趣旨で1992年に創設され、第1回受賞者の真鍋淑郎博士をはじめこれまでの輝かしい受賞者ならびに受賞団体が世界各地で活躍しておられます。この賞が世界の人々の環境に対する意識を高め、それに伴う行動を促す契機になりますことを祈念し、第30回ブループラネット賞に寄せる言葉といたします。