「自然が人間にもたらすもの」とは、人間が自然から受けるすべての関わりのこと。これには、生態系の財やサービス、事物だけでなく、害虫、病原体、捕食者などのネガティブな関与も含まれる。
「自然が人間にもたらすもの」は、大きく以下の3つに分類される。
(i) 自然の調節機能による関わり
生物や生態系が持つ機能的・構造的な側面を指す。これらは、人間が生活する環境の条件を変化させ、物質的・非物質的なものの生成を維持・調節する。(例:水質浄化、気候調節、土壌浸食の抑制)
(ii) 自然による物質的な関わり
人間が生きていく上で必要とする物質、事物、その他の自然界由来の要素を指す。これらは、社会や企業の運営に必要なインフラ(建物、道路、電力供給など)の維持にも必要である。具体的には、植物や動物が食料、エネルギー、住居、装飾品などに加工され、利用される過程で消費されるものが当てはまる。
(iii) 自然による非物質的な関わり
個々人や集団としての主観的・心理的な生活の質に寄与するもののこと。このような目に見えない恩恵をもたらす存在は、利用過程で消費されるもの (例えば、娯楽や儀式としての釣りや狩猟における動物) と消費されないもの (例えば、インスピレーションの源としての個々の樹木や生態系) がある。