2025 (34th)
Blue Planet Prize Laureates
2025年(第34回)
ブループラネット賞受賞者
ロバート・B・ジャクソン 教授(米国)
1961年9月26日生まれ
スタンフォード大学 地球システム科学科
森林・草原・湿原などの陸域生態系の炭素循環の専門家で、土壌・植生・土壌細菌群集の関係に関する先駆的な研究を行ってきた。また、化石燃料の使用や自然の生態系から発生する二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの温室効果ガスの収支を定量化している。2017年からは、グローバルカーボンプロジェクト(GCP)の議長として温室効果ガス排出量の監視と削減を主導している。
受賞の辞
松尾芭蕉の数ある俳句のひとつに、次のような句があります。
「この道や 行く人なしに 秋の暮れ」
しかし、俳人とは異なり、科学者は決して一人で旅をすることはありません。
より良い世界を目指して努力する中で、支えてくれた家族、友人、研究室の仲間たち、そしてグローバル・カーボン・プロジェクトの同僚たちに感謝します。
スタンフォード大学のハロルド・ムーニー教授(2002年のブループラネット賞受賞者)の研究室で出会って以来、共に歩んできたGCP事務局長のジョセップ・カナデルにも深く感謝しています。そしてもちろん、環境のための取り組みを支えてくださっている旭硝子財団にも心より御礼申し上げます。
私たちは、過去の環境保護の先駆者たちのおかげで、私たちがどれほど健康でいられるのかを、つい忘れがちです。米国では、有鉛ガソリンの段階的廃止によって、子どもの血中鉛濃度が96%も低下しました。米国の「大気浄化法」は、30倍の投資効果を上げつつ、年間数十万もの命を救っています。
また、国際協力によって、地球のオゾン層と地球上のすべての生命を守るモントリオール議定書も策定されました。しかし、自由や平等と同様に、環境の進歩や安全な気候もまた、今まさに危機にさらされています。ブループラネット賞は、私にそのことを思い起こさせてくれるものであり、私はこの栄誉に深く感謝しています。
ジェレミー・レゲット 博士(英国)
1954年3月16日生まれ
ハイランド・リワイルディング社創設者・CEO
カーボン・トラッカー・イニシアティブ初代会長
Carbon Tracker Initiative (CTI) の初代会長として「カーボンバブル」の概念を提唱し、化石燃料資産の経済リスクを明らかにした。CTIの活動を通じて投資家や政策立案者に影響を与え、ダイベストメント(投資撤退)運動を促進した。また、経済活動と環境保全の両立を目指す実践的な活動として、英国を代表する太陽光発電企業を創業。最近ではスコットランドで自然回復と地域社会の繁栄を結び付ける取り組みを推進している。
受賞の辞
このたびの栄誉に、心より光栄に思うと同時に、身の引き締まる思いです。とりわけ、私が長年にわたり日本と関わってきたことを思えば、なおさらのことです。
1980年代には、地球科学の研究者として日本の大学や産業界の研究者と緊密に連携してきました。1990年代には、気候変動対策の活動家として、日本を含む世界の仲間たちとともに、1997年の京都気候サミットの成功に向けて尽力しました。
その後、太陽光発電の起業家として歩み始めた初期の頃には、日本、アメリカ、ドイツの先駆者たちから多くのことを学びました。これらすべての仲間たち、そしてSolarcentury、SolarAid、Carbon Tracker、Highlands Rewildingのチームとかつての仲間たちに、心から感謝します。
また、気候変動アナリストや国連職員として活躍していた日本人の妻、アキにも深く感謝しています。私がこの賞を受賞できたのは、彼らの支えがあったからこそであり、この名誉は私だけのものではなく、彼らと分かち合うべきものです。
この賞が与えてくれる機会を生かして、持続可能で希望ある未来を築くための取り組みを、さらに加速させていく所存です。
記念講演
受賞者による記念講演は、10月30日(木)に東京大学で、11月1日(土)には京都国際交流会館で開催されます。
講演会への参加申込みは、8月下旬より当ウェブサイトにて受け付けを開始いたします。
表彰式典、祝賀パーティー、記念講演の取材に関するお問い合わせは、post@af-info.or.jpまでお願いいたします。