GNH(こくみんそうこうふく)GNH : Gross National Happiness(国民総幸福)

 国民総幸福(GNH)は、経済成長を最優先する従来の姿勢を見直し、国民一人ひとりの幸福と生活の質を重視するという、ブータン独自の発展理念である。この考え方は、ジグミ・シンゲ・ワンチュク第4代ブータン国王が1970年代に「国民総生産(GDP)よりも国民総幸福(GNH)の方が重要である」と提唱したことに端を発している。
GNHの背景には仏教の価値観があり、物質的豊かさにとどまらず、精神的・文化的な充実をも含めた幸福の追求を目指している。
GNHは、①持続可能で公平な社会経済発展、②環境保護、③文化の保護と振興、④良い統治の4本柱から成り立ち、さらにそれを具体化するために、心理的幸福や健康、教育、生態系の多様性、生活水準など9つの分野に分類されている。また、「家族は互いに助け合っているか」「心配で眠れないことがあるか」「植林をしているか」「病院までの距離」など、国民の日常生活に根ざした72の指標が策定され、幸福度を多面的に測定している。
これまでに国民に対して、2006年の予備調査から2015年の第3回調査まで計4回の調査が行われた。

    

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